テレワークを導入する企業や個人事業主が利用できる厚生労働省と東京都の助成金や税金の特例制度についてまとめました。コロナ自粛解除後も申請できる助成金の一覧です。
パソコン購入や遠隔機器の購入、サテライトオフィス利用料などにも使用できる助成金の申請方法や期限など紹介します。ぜひ在宅勤務やリモートワークの導入と継続に活用してください。
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
在宅勤務、またはサテライトオフィスから仕事をするテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、テレワーク実施に必要な費用の一部が助成される厚生労働省の制度です。
助成金の支給対象となる事業主
(1)〜(3)まですべてに該当する事業主:
(1) 労働者災害補償保険の適用事業主であること
(2) 次のいずれかに該当する中小企業事業主であること
業種 | 資本または出資額 | 常時雇用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円円以下 | 300人以下 |
(3) テレワークを新規で導入する事業主であること、または、テレワークを継続して活用する事業主であること
・全面的な本格導入でなくても、試行的に導入している事業主も対象になります。
・すでに過去に本助成金を受給したことのある事業主は条件があり「対象労働者数を2倍に増やしてテレワークに取り組む場合」には2回まで受給が可能となっています。
助成金の支給額
「支給対象となる取り組み」を行った際の経費の一部を目標達成状況に応じて支給されます。自ら設定した評価期間の間に関わる経費のみが対象です。
対象となる経費:謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費
助成額:対象経費の合計額 × 補助率(上限額あり)
上限額は「1人当たりの上限額」× 対象労働者数
または「1企業当たりの上限額」のどちらか低い方の額が適応されます。
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
補助率 | 75% | 50% |
1人当たりの上限額 | 40万円 | 20万円 |
1企業当たりの上限額 | 300万円 | 200万円 |
75%も対象経費の金額が補助されるとはかなり大きな助成金です。この補助を受けるための必要条件を確認しましょう。
助成金の支給対象となる取り組み
1つ以上実施することが条件
・テレワーク用通信機器の導入・運用する
・就業規則・労使協定などの作成・変更する(テレワーク勤務に関する規定の整備)
・労務管理担当者に対する研修をおこなう
・労働者に対する研修、周知・啓発をおこなう
・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
労働者は、派遣労働者も対象となりますが、その派遣労働者を雇用する派遣元が同じ派遣労働者を対象として同時期に同じ取り組みに対して助成金を受給していた場合はNGとなります。そして、少なくとも対象労働者の1人は直接雇用していないといけない、と決められています。
助成金の支給対象となるもの・対象外のもの
テレワーク用通信機器の対象になるもの
パソコンなどシンクライアント端末、サテライトオフィス等の利用料、VPN装置、 クラウドサービスの導入、Web会議用機器、遠隔操作のための機器やソフトウェア、保守サポートの導入 など
助成金支給対象にならないもの
シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォン
重要!対象パソコンについて
- 助成金の対象になるパソコンは、単体では機能しない操作用コンピュータ、必要最低限の機能を備えたパソコンに限られる。
- シンクライアント端末とは「ソフトウェアやデータの管理は構内ネットワーク(LAN)上のサーバで集中的に行い、各従業員にはサーバに接続して操作するための最低限の機能のみを持った低価格の専用端末」(参照:IT用語辞典 )
シンクライアント製品(パソコン)の例: 参照 Fujitsu、DELL
成果目標の設定と達成が条件
支給対象となる取り組みは、二つの成果目標を両方とも達成することを目指して実施する必要があります。
- 評価期間中に1回以上、対象労働者全員に、在宅またはサテライトオフィスからの就業、テレワークを実際に行う
- 評価期間中に、テレワークの実施した回数の週間平均が1回以上である
テレワーク実施の評価期間
評価期間は申請者が事業実施計画を作成する際に自ら設定します。設定できる期間は、交付決定の日から2021年(令和3年)2月15日までの間で、1〜6ヶ月間の間で自ら設定する形です。
評価期間は最低1ヶ月設定して、その間にテレワークの実施を週平均1回以上、対象労働者全員に1回以上が実施されていることが成果目標となるわけです。
働き方改革推進助成金の申請・届出
申請書は厚生労働省のページ「申請様式」からWord形式でダウンロードできます。
交付申請の期限は2020年(令和2年)12月1日までとなっていますが、支給は国の予算額に制約されるため、期限よりも早く締め切られることもあると明記されています。
厚生労働省 働き方改革推進助成金テレワークコースの詳細
テレワーク相談センター(厚生労働省委託事業)
電話:0120-916-479
メール:sodan@japan-telework.or.jp
「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類とともに、テレワーク相談センターに提出。
(2020年3月9日受付開始の「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」交付申請の締め切りは、2020年5月29日までで終了しました。)
東京都のテレワーク助成金:東京しごと財団の助成金について
東京都 – はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)
補助額が最大110万円
・在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を行うための環境構築費用
・就業規則へのテレワーク制度整備に要する専門家への委託費
初めてテレワークを導入する企業が対象
・常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で、かつ6か月以上継続して雇用している
・就業規則にテレワークに関する規定がないこと
・東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受け、東京都の「テレワーク導入パッケージ提案書」に基づいて導入する機器・ソフト等を選定します。
申請期限:2021年(令和3年)3月31日まで
注意!予算の範囲を超える申請があった場合等、期限よりも早く受付を終了することがあります。
申請方法は「テレワーク導入促進整備補助事業」ページからご確認ください。
東京都 – 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
助成金の上限250万円
実施期間:支給決定日以後、2020年(令和2年)9月30日までに完了する取組が対象
対象企業
・常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で、都内に本社または事業所を置く中小企業等
・東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
申請期限:2020年(令和2年)7月31日まで
注意!予算の範囲を超える申請があった場合等、期限よりも早く受付を終了することがあります。
申請方法:支給申請書類を郵送により東京しごと財団へ提出
申請用紙は事業継続緊急対策(テレワーク)助成金ページの「支給申請様式等」からダウンロードできます。申請書類の提出先住所も確認できます。
テレワークの設備投資に適応される税制
テレワークのために設備投資に中小企業経営強化税制、即時償却、または取得価額の10%の税額控除が適用されます。
対象設備の要件は3種類のうちいずれかに該当するものです。
・遠隔操作(非対面で事業が行えるようになる。通常出勤している場所以外から業務を行えるようになる。)
・可視化(データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと)
・自動制御化(デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること)
対象設備:ソフトウエア、機械装置、工具、機器備品、建物付属設備
詳しくは中小企業庁「テレワーク等を促進するために中小企業経営強化税制が拡充されました」でご確認ください。
申請書:中小企業庁の「確認申請書等の様式」からWord形式でダウンロードできます。
申請書とともに必要な提出資料:
・登記簿謄本の写し
・対象となる新規設備投資につき、既存設備の現況と設備投資後の状況を確認できる資料
・投資計画の分かる資料
・認定経営革新等支援機関による事前確認書
確認書は申請してから発行されるまで数日~1ヶ月程度かかるため、余裕を持った申請を心がけましょう。
問い合わせ先:中小企業税制サポートセンター
電話:03-6281-9821
コロナ緊急経済対策における税制上の措置
納税を猶予する「特例制度」
2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)2月1日に納期限が到来する国税については所得税、法⼈税、消費税等ほぼすべての税⽬を対象として1年間、国税の納付を猶予することができます。
対象者:2020年2月以降1ヶ月以上、新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収⼊に相当の減少(前年同期に⽐べておよそ20%以上減少)があった⽅で、かつ⼀時に納税を⾏うことが困難である場合。
相談:国税局猶予相談センター(都道府県別のフリーダイヤルがあります)
詳しくは財務省・国税庁 納税の猶予特例制度のページを確認ください。
消費税の課税選択の変更に関わる特例
課税期間開始後であっても、消費税の課税事業者を選択する(やめる)ことができる特例です。
特例を利用できる事業者:新型コロナウイルス感染症等の影響により、2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までの間のうち、1ヶ月以上の任意の期間の収入金額が、前年の同時期と比べておよそ50%以上減少している事業者。
申請期限:消費税の申告期限までに申請書を提出
法人の場合:課税期間の終了の日の翌日から 2 ヶ月
個人の場合:課税期間の翌年の 3 月末
詳しくは財務省の新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者に対する「消費税の課税選択の変更に係る特例」をご覧ください。
欠損金の繰戻しによる還付の特例
前年度は⿊字だった法⼈が、経営悪化などで当年度⾚字になった場合、前年度に納付した法⼈税の還付を受けることができます。適応範囲が拡大され、資本金の額が1億円超10億円以下の法人も利用可能となりました。
適応される期間:2020年(令和2年)2月1日から2022年(令和4年)1月 31 日までの間に終了する 事業年度に生じた欠損金額
詳しい内容は国税庁の「新型コロナ税特法による欠損金の繰戻しによる還付の特例」をご覧ください。
テレワーク助成金を活用して安全に働ける仕事環境を
テレワーク導入に助成金や税制を活用し、パソコンやVPN装置の導入など仕事環境の整備を整え、社員が安全に働けて生産性を上げるチャンスです。助成金はサテライトオフィスの料金にも適用されるため、設備の整った場所、自宅よりも集中して社員が快適に働ける場所を用意できます。
効率・生産性の上がる仕事環境の一つとして、自宅以外の場所のテレワーク場所、マンスリーマンションやサービスアパートメントをサテライトオフィスとして利用することもおすすめです。東京都内や横浜での場所をお探しの場合は、ぜひメトロレジデンスへご相談ください。
マンスリーマンションがテレワークにも便利なポイントは「テレワークや仮オフィスに、都心のマンスリーマンションという選択肢」で詳しく解説しています。
こちらもおすすめ: