日本で家族同様に暮らしてきたペットと一緒に海外へ移住したいと考えている人もいることでしょう。シンガポールへ移住することになったが、ペットは一緒に連れて行けるのか気になっている人のために、シンガポールのペット事情から移住方法まで説明します。

シンガポールのペット事情とは?

シンガポールでは人々の暮らしにゆとりが生まれていることからペットブームが起こっています。国内の公園やドッグランなどのペット施設も充実し、環境が整備されています。しかし一方でペットの虐待や飼育放棄などの問題もあります。そのため、政府がペットに対しての責任をとるように義務付けています。また、日本に比べて様々な宗教の信者がいるため特定の動物を避ける人たちや、衛生観念から完全に動物の立ち入りを禁じている場所もあることを覚えておいてください。

シンガポールにペットと一緒に入国するには

では、実際にペットと一緒にシンガポールに入国する際の手続きについてです。方法については全て自分で英語を使ってやる方法と、日本語でペット輸出業者とのやり取りをはさんで行う方法があります。この業者は飼い主が日本でやる手続きの指示、シンガポール側への手続き、空港での検疫手続きをやってくれますが、業者を介しても日本の手続きは自分でやる必要があります。今回の記事では業者を介した手続きについて説明していきます。

1.マイクロチップの準備・予防接種の受診

では日本で行う手続きに関してです。犬や猫の場合マイクロチップが挿入されているか確認しましょう。マイクロチップがない場合、移住はできませんので動物病院などで入れてもらいます。日帰り手術で行われますが、余裕をもって行っておくことをお勧めします。
また、狂犬病の予防接種を行います。認定獣医から発行される健康診断書と予防接種証明書も必要です。RIAS生物科学安全性研究所に動物病院で採取したペットの血清を送り、日本語と英語の証明書を取得します。証明書はRIASのホームページから入手することができます。

2. 輸出手続きの依頼・検疫の申請

英日両方の抗体証明書、英語で書かれた去勢済み証明書とワクチン証明書とマイクロチップ証明書計4枚をシンガポールのペット輸入代行代理店に送付し、輸入許可申請を依頼します。
輸入許可が出れば、日本の空港の動物検疫所へ輸出手続きを依頼します。ハムスターなどの小さな哺乳類や昆虫、爬虫類は動物検疫の対象ではありませんが、犬や猫は必要なので忘れずに依頼しましょう。シンガポールは必ず獣医官のサインが必要なので、依頼をしなければ獣医官がおらず検疫ができません。できれば事前に動物検疫所に必要書類の確認をしてもらうとよいでしょう。出発前の1週間以内に、ノミの駆除を行い、AVA指定用紙にサインをしてもらいます。用紙はAVAホームページ上にあります。

3.出発当日の検疫

出発日当日は動物検疫があるため、フライトの時間に余裕をもって空港に到着しておきましょう。特に検疫所はターミナルと異なる場所にあることがありますので、迷わないよう事前に場所を調べておくことをおすすめします。検疫所で無事に健康診断を終え、輸出検疫証明書にサインをもらえればいよいよチェックインです。
ペット搭乗証明書が必要となりますのであらかじめホームページから指定用紙を用意しておきましょう。チェックイン後はゲージから出すことができないため、餌や水などはチェックイン前に済ませておきます。
航空機では人間とペットは一緒に乗ることはできません。ペットは貨物として扱われ、貨物室にゲージごと乗せられます。

4.輸入手続き

シンガポールに到着したら、輸入手続きをします。業者に頼んでいる場合は書類を一式渡すことでその後の手続きを代行してくれます。ペットは到着後、スーツケースなどと異なりそのまま動物検疫所へ送られます。シンガポールでの検疫が問題なく行われればその日中にペットを引き取ることができます。代理店に依頼している場合は、引き取った後飼い主の自宅まで運んでくれることが多いようです。代理店によっては引き取った直後に飼い主に連絡、ペットはゲージから出し軽い散歩をさせてくれるところもあります。

5.ドッグライセンス申請

人間はもちろんそうですが、航空機の中にいたペットは非常に疲れていることでしょう。その日はゆっくりと休ませておいてあげることをおすすめします。落ち着いてからで構いませんが、犬の場合は3か月以内にドッグライセンスを取得しなければならないことを忘れないようにしてください。

まとめ

日本からシンガポールへ移住するときは日本でそろえなければならない書類や受けさせなければならない検査があり、人間もペットも大変な思いをします。ペットとの移住を考えている人はなるべく早く手続きをし、直前になって慌てずに済むようにしましょう。英語があまり堪能でなければ業者・代理店に依頼するというのも一つの手です。このときは日本で必要な手順を詳しく教えてくれますので、それに従って手続きを行うようにしてください。また、シンガポールでの引き取りも代行してくれますので、先に自宅に向かいペットを迎え入れるまでの準備時間に充てるというのもよいですね。