海外への駐在が決まったら、まずは駐在先の国について調べることが肝心です。特に知っておきたいのが働き方や仕事文化についてです。郷に入っては郷に従えと言います。駐在先の同僚たちとうまくやっていくためにも、駐在先の国の人達が仕事に対してどのような感覚を持っているのか事前に知っておきましょう。日本と同じ感覚で接してしまうと、思わぬ摩擦を生むことに繋がってしまうかもしれません。ここではシンガポールの働き方や、仕事文化についてチェックしてみましょう。

意思決定のスピードが早い!

シンガポールの人々は、日本に比べてスピード感を重視して仕事をすることが多いです。もちろん企業規模や海外進出度合によって多少の違いはありますが、方針や判断を決定する際のスピードは、日本とは比べ物にならないくらい早いと覚悟しておきましょう。
日本企業は意思決定が苦手で、なかなか結論が出ないまま会議が続いたり、会社の最終意思決定者にまで辿りつかない、ということが良くあります。また、事業や企画がダメだった時の方針転換もなかなかスムーズにいかない、という場面が多くあります。
その点シンガポールは、外資系企業の例に漏れず、駄目だと分かった際の方向転換が非常に早く、意思決定までのプロセスが短いため決断も非常にスピーディに行われます。周りの環境が迅速な意思決定を求めてくるため、慣れていないと戸惑うかもしれないポイントです。とはいえ、スピード感を持って仕事をすることは、やりがいやスキルアップを与えてくれる大きなメリットになっているのです。

責任範囲が明確

シンガポールは日本に比べると、仕事の役割が明確に分けられている傾向があります。日本ではなんでもこなせるジェネラリストを育てようとする一方、シンガポールでは1つのことを専門に行うスペシャリストが多く誕生する傾向にあるのです。
多くのシンガポール人は、転職を当たり前のことと考えています。現在の仕事でキャリアを積む、更なるスキルアップを目指して職場を変えていくことは、シンガポールではごく当たり前のことなのです。不景気によって崩れたとはいえ、日本はまだ終身雇用制の考えが根強く残っており、転職は現在の職場に不満があるときに考える、という人が多いため、この考え方の違いは非常に大きいと言えるでしょう。
転職が当たり前のこととして根付いているシンガポールでは、個人に求められる役割が非常に明確になるのです。日本では専門外のことを頼んでもやってもらえることが多いですが、シンガポールでは「それは私の仕事ではない」と断られることもあります。

シンガポール英語

シンガポールの英語は独特で、最初は英語を話していると思わなかった、と言われるほどのシンガポール英語ですが、慣れてしまえば日本人には聞き取りやすいとも言われています。また、中華系が7割を占めるシンガポールでは、多くの人が英語と中国語の両方を話すことができます。会話の端々に中国語が出てきたり、会話の途中から中国語に切り替わっていた、という事態もよく起こります。戸惑うことも多いでしょうが、聞き取りに必死になるのではなく、会話を楽しむ気持ちを忘れないようにしましょう。
自分以外に日本人スタッフがいると、集まってついつい日本語で話してしまうことが多くなります。しかし日本語が話せない現地スタッフからしてみれば、これはあまり気持ちのいいことではありません。同僚と距離を縮めるためにも、英語か中国語のどちらかを使うことを心がけるようにしましょう。

風水の考え方

現地の同僚と上手くやっていくには、文化の違いを理解しておくことが役に立ちます。シンガポールの文化として押さえておきたいのが、風水との付き合い方です。
風水は古代中国の思想で、気の流れを物の位置で制御する思想のことを言います。日本でも古くからあり、現在でも占いとして人気があります。シンガポールは中華系の人が多く、「風水の国」と呼ばれるほど、風水が身近な存在として根付いており、日本の占い的な立ち位置とは比較になりません。あのマーライオンも、風水的に位置が良くないとして場所を移されるほど。それだけ風水の思想を大切にしてるのですから、オフィスでもその文化を感じる場面は多くあります。
日本人が驚くことが多いのが、ある日突然同僚の名前が変わってしまうことです。「営業成績が悪かったから」「売り上げを上げたいから」という理由で、シンガポールでは名前を変えてしまうのです。また、出社時間が急に変わることもありますが、これも風水の関係です。「そんな馬鹿な」と思ってしまうかもしれませんが、現地ではこちらが異邦人。慌てず騒がず、おおらかな気持ちで接することを忘れないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
シンガポールは多様性に溢れた国でもあり、色んな刺激を受けられる国です。文化を理解し、同僚と上手くコミュニケーションをとれれば仕事もやりやすくなるでしょう。