経済的に急成長を遂げているシンガポールには、日本企業も多く進出しています。そんな背景の下で、シンガポールでの駐在勤務が決まった、家族での移住を決意したという方向けに、シンガポールへ移住する前にしておくべき準備について紹介します。いざ赴任する時に後悔することがないように、日本にいる間からできることをしておきましょう。
1.ビザの取得
ビザがないとシンガポールでは長期滞在ができないので、必ず申請しましょう。ビザなしで航路から入国した場合、30日以内に出国しなくてはいけません。書類の準備から申請まで、ビザを取得するには時間がかかるので、まずはビザの用意から始めるのがいいでしょう。
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2.歯科受診
日本と比べると、シンガポールの歯科治療はかなり高くつきます。日本にいる間に歯の検査を受けておくことをおすすめします。歯の治療には時間がかかりますので、ビザ取得同様、こちらも早めに受診しておきましょう。
3.健康診断
シンガポールには日本のような健康保険制度がありません。そのため各病院で自由に料金を設定しているので、緊急時などに高額な費用を請求される場合があります。あらかじめ健康診断を受けて体の具合を確かめ、悪いところがあれば早めに治療するようにしましょう。
また、日本にいる間に治療が完結しないようであれば、かかりつけの医師に英文の紹介状などを書いてもらってください。これがないと、またシンガポールで一から検査を受ける羽目になる恐れもあります。
4.予防接種
清潔な国とはいえ、シンガポールで日本ではかからないような病気にかかることもあります。また、近隣の発展途上国からウイルスが入ってきていることも考えられるので、渡航前に予防接種を打っておきましょう。渡航外来やトラベルクリニックなどでは予約がすぐに取れないこともありますので、早めに予約しておくようにしてください。その際、英文予防接種証明書を発行しておいてもらうと、移住後に余計な予防接種を受けずに済みます。
5.住居探し
渡航後に家探しをするのはとても煩雑な作業になります。まず物件探しを自分で行い、それからその物件専属のエージェントに連絡して英語で条件を交渉して、といくつもの手続きを行わなければいけません。手間を省くためにも、シンガポールのエリア情報などを前もってインターネットで調べておき、住みたいエリアを選んでおきましょう。そして日本人のエージェントに頼めば、候補を絞って物件を紹介してくれますし、大家との交渉なども行ってくれます。
ローカルのエージェントに頼む場合、家探しの費用は安く済みますが、その分手間がかかります。英語力に自信があるのであればローカルのエージェントに頼むのもいいでしょう。ただし、日本人エージェントはこちらの気持ちに寄り添って仕事をしてくれるので、初めての移住で失敗したくないのなら、日本人エージェントに頼むのが確実な方法です。
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6.一時滞在先の確保
実際に内覧したり契約の手続きをしたりと、住居が決まるまでには少し間があります。この間に滞在する場所を確保しておきましょう。メトロレジデンスならアクセスの良いサービスアパートメント・マンスリーマンションをお手頃価格で提供しています。
7.学校探し
母国語が英語のシンガポールでは、英語ができるかどうかによって日常生活や仕事を快適にこなせるかが決まります。英語学校に通って語学力を上げたいと考えている方は、早いうちからインターネットで候補の学校を調べておきましょう。通いやすい場所にあるか、学費はどれくらいかかるのか、先生や生徒の国籍はどのような構成になっているのかなど、自分に合った学校を選ぶための情報を集めておいてください。その上で、自分がどんな点を重視するのかも明確にしておくと、より学校が選びやすいでしょう。その学校が自分にあっているかどうかは実際に見てみなければ分かりません。見学や体験レッスンをあらかじめ予約しておくと、スムーズに事が運びやすいはずです。
また、子供も一緒に連れていく場合は、子供の学校選びも重要です。シンガポールは世界的にも教育水準が高いことで知られていて、子供の教育が重要なファクターだと考えられています。シンガポールでうまく学校を選ぶことができれば、子供の将来の可能性も大きく広がるのです。
シンガポールには、ローカルスクール、インターナショナルスクール、日本人学校があり、それぞれの学校ごとにメリットもあればデメリットもあります。例えば、ローカルスクールは学費は安いですが、授業は全て英語で行われるので、英語が苦手な子供であれば授業についていくことができません。インターナショナルスクールは学費が高い代わりに設備が整っています。日本人学校はほとんど日本人しかいないので安心感はありますが、日常的に英語を使う環境ではないので、他の学校に比べると英語力の成長は期待できません。こういった点を考慮した上で、日本にいるうちから子供を入れる学校を調べておくといいでしょう。
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8.保険
シンガポールは医療も発達しており、日本と同じレベルの治療を受けることができます。しかし先にも述べたように、シンガポールには健康保険制度がなく、病院が独自に料金を定める自由診療という形を取っています。そのシステムのおかげで医療費が高くつくことがあるため、多くのシンガポール国民は任意の医療保険に加入しているようです。
シンガポールへの赴任を命じられた駐在員のほとんどは、企業が加入している海外旅行傷害保険に入ることができます。この保険では基本的に外来診療はカバーされるようですが、適用に条件があるので、あらかじめ企業あるいは保険会社に確かめておきましょう。日系のクリニックや病院では、保険会社が直接病院に費用を支払うキャッシュレスサービスを採用しているところもあるようです。また日本に住民票が残っていて、かつ日本の保険適用範囲内の治療であれば、国からある程度の額の還付を受け取ることもできます。
日本で発行されたクレジットカードに海外旅行保険が付帯している場合もありますが、この保険の有効期限は出国後だいたい3ヶ月以内に設定されています。滞在が長くなるようであればあまり当てにはできません。
日本国内で加入することができる医療保険の中には、シンガポールでの急な体調不良などの医療費に対処してくれるものもあります。自分がどんな保険に加入していて、保険の内容はどのようなものなのか、今のうちに確認しておいてください。もしも追加で入っておいた方がいい保険が見つかったら、加入することも検討してみましょう。
9.運転免許証更新、国際運転免許証の取得
運転免許証は、たとえ更新期間でなくても、海外に駐在している人などのために、前もって更新することができるようになっています。事前更新の手続きには、免許証以外に海外出張証明書やパスポートが必要となります。必要書類は各都道府県ごとに定められているので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、国際免許証も日本で取得できるので、できれば取得しておくのがいいでしょう。申請に必要なものは、運転免許証、パスポートなど渡航を証明できるもの、そして縦5×横4センチの証明写真です。国際運転免許証の有効期限は1年間となります。シンガポールは日本と同じように右ハンドル、左側通行の国なので、日本人にとっては運転しやすい環境です。海外で運転するのは勇気がいるものですが、国際免許を取得して運転ができるようになれば、シンガポールでの生活をより便利に送ることができます。
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10.携帯電話
契約している携帯電話をどうするか、というのも事前に考えておくべきことの一つです。移住する前に解約してしまうか、一時帰国した時などのために契約を残しておくかのどちらかの選択肢が考えられます。解約をせずにシンガポールで別の携帯を用意して2台使う場合は、日本の携帯のプランを安いものに変更しておきましょう。
そして解約をする場合も、解約の前に現在使っているスマートフォンがSIMフリーのものかどうか、一度確かめてみることをお勧めします。もしもSIMフリーであれば、シンガポールで別のSIMカードを購入して入れ替えることで、使用中の端末を向こうでもそのまま使うことができます。この場合、LINEなどのアプリを再びインストールしたり、煩雑な設定をしたりする手間が省けるのでとても楽です。また、日本に一時帰国した際にも、空港や家電量販店で販売している2週間用などの期間限定のSIMカードを購入して入れ替えれば、こちらでも再び使うことができます。このように携帯が大変便利に使えるので、海外移住をきっかけにしてSIMフリーの端末に買い替える方も多くいます。SIMフリーの端末は日本国内同様、シンガポールで買うこともできます。
日本への帰国頻度や電話番号変更に伴う手間など、よく検討した上で、携帯電話については決めるのがいいでしょう。</span
11.銀行口座の開設
移住した後は、シンガポールでも利用できる銀行口座を開設することも必要になります。まず検討したいのが、どの銀行で口座を作るかということです。シンガポールのローカル銀行で最も利便性が高いと言えるのがDBSです。DBSは東南アジア最大の銀行であり、シンガポール内のATMの数も最多です。広範なプロモーション活動を行っていて、DBSのクレジットカードで支払うと割引になる店も多くあるようです。
また、近年人気が上昇しているネット銀行の口座を開いておくのもお勧めです。ネット銀行は窓口に行くことなく、インターネット上で振替や送金などの手続きが行えるので、時間的にも場所的にも自由に利用できます。さらに、そもそも窓口が存在しないため人件費がかからず、諸手続きの手数料が安いのもネット銀行の大きな利点の一つです。海外口座への国際送金も安く行えるので、海外移住者には特に需要が高いツールだと言えます。
まとめ
以上の11点が、シンガポールへの移住の前に特に備えておきたいポイントになります。何事も始まりが肝心です。いざ準備を始めると他にも気になることが出てくるので、移住が決まり次第、早め早めに必要な準備をこなしていきましょう。