香港に渡航する際、滞在が90日以内であればビザは不要となりますが(訪問ビザが自動発行されます)、それ以上の期間の滞在となる場合は旅行・ビジネス目的問わずビザが必要となります。

ビザの種類は就学のための学生ビザや、旅行目的のトラベルパス・観光ビザ、ビジネス目的の研修ビザや就労ビザ・投資ビザなどが挙げられます。
ビジネス目的のビザの中で、研修ビザは現地に研修に赴く際に利用されるもので滞在期間が最長1年間限定であり、もう一方の投資ビザは香港法人の株主として就労する時限定の特殊なものであるため、香港に駐在員として渡航する際は就労ビザ(Employment Visa)が必要です。
就労ビザの期限は1年間ではあるものの、研修ビザとは異なり申請すれば期間を延長することが可能です。就労ビザに加えて、駐在員が単身で赴任するのではなく家族で渡航する場合は、扶養家族ビザ(Dependant Visa)も必要となります。

就労ビザの取得条件

就労ビザを取得する上での注意点として、香港イミグレーションの一定条件を満たしていなければならないという点が挙げられます。
申請者のビザを許可することで香港人の雇用が見込まれること、申請者が香港経済の発展に有意義であること、香港人にとって遂行することが困難な業務内容やポジションであることなどが判断基準になります。特に、香港は国際金融都市としての世界的地位を高めるために、政府は専門的な人材・技術的に優れた優良な人材を誘致するための政策を敷いています。
就労ビザを取得する際の条件は厳しく、一度取得に失敗すると二度目の申請時はハードルが大きく上がることも留意しておきましょう。ビザの取得条件を満たしたいがために申請書類に虚偽があったり、過去に提出したビザ申請の際の書類と新たに提出する際の書類の内容が一致してなかった場合、ビザ取得が許可されないばかりでなく、罰金や禁固刑などさらに大きな問題へと発展する可能性があります。くれぐれも準備は怠らず、慎重に進めて申請を行うようにしましょう。

就労ビザの取得方法

赴任者本人の就労ビザの取得は、まず必要書類を準備して現地法人に送付します。
この必要書類とは、パスポートのコピー(残存期間が6ヶ月以上であること)、カラー写真(5.0×4.0cm)2枚、ビザ申請書と英文卒業証明書の合計4点です。
これらの他に、会社側(日本)が用意しなければならない書類があり、「Personal History」と「Certificate of Employment」の2点が必要となります。
これら6点を準備して香港の現地法人へと送付し、代理で就労ビザの申請をしてもらいます。ただ、ビザ発行は条件が難しく、また、一度目の申請で取得することが肝心なこともあって、自社で行うよりも知識と経験が豊富な代行会社に委託するケースがほとんどです。申請を行ってからおよそ4〜6週間ほどで現地法人宛に発給の通知が入り、ビザラベルが発行されるので日本に発送してもらいます。これを受領して、赴任者本人のパスポートにビザラベルを貼り付ければ、渡航のための準備が完了です。

家族で移住するには?

扶養家族ビザを取得しましょう。扶養家族ビザは、就労ビザ・投資ビザの保持者がスポンサーとなった上で、その配偶者・子供や父母が取得可能となるビザです。扶養家族ビザの取得のタイミングに関しては、就労ビザとは異なり入国後の申請で構いません。
家族ビザ申請に必要な書類は、家族のパスポートのコピー(こちらも残存期間6ヶ月以上が条件となります)とカラー写真2枚、戸籍謄本と赴任者本人の香港での在職証明書、これら合計4点です。カラー写真に関しては、赴任者本人のものと同様5.0×4.0cmのものを用意しましょう。
配偶者は婚姻・家族関係を、子供や父母は家族関係を証明する必要があるのですが、戸籍謄本が一通あれば全員分がまかなえます。3ヶ月以内の戸籍謄本を基に、日本領事館が家族関係の証明書を作成してくれます。また、扶養家族ビザを取得する際に、サポート費としてHKD3,000が必要な点も覚えておいてください。

まとめ

申請してから発給されるまで時間がかかりますので、時間に余裕を持って申請を行いましょう。
ビザを持たずに渡航して現地で直接申請することも可能ではあるものの、申請後に発給されたビザラベルをパスポートに貼り付けて一旦別の国(日本以外)に入国してから、再度香港に入国するといった手間がかかってしまいます。そのため、赴任する前に香港の現地法人に代理でビザを申請してもらい、ビザラベルを発給してもらってから渡航しましょう。

ビザを取得して、いざ移住!となった際には香港での生活費も合わせてチェックをしておくことをおすすめします。