テレワークを導入している企業の実施率、新型コロナウィルスをきっかけに増加した普及率はどのくらいでしょうか。緊急事態宣言が終了した後もテレワークの継続を表明している海外と日本企業の事例を紹介します。

コロナでテレワークを導入した企業の効果や課題は何だったのでしょうか。今後のテレワークの未来、継続の効果についても見ていきましょう。

テレワークの導入率の実態

総務省のホームページでテレワークは在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークの三形態が含まれるものと定義されています。

企業におけるテレワーク導入状況は総務省のデータによると2018年は19.1%。企業の規模別では、人数の少ない企業ほど導入率が低く、社員の多い大企業では導入率が高い傾向があります。

100~300人未満の企業では導入率14.5%
2000人以上の企業では46.6%の導入率

産業別では情報通信業および金融・保険業における導入が多い数値が出ていました。参照:総務省資料

新型コロナウイルス – 2020年のテレワークの実施率

2020年の4月の調査では、正社員のテレワーク実施率は27.9%(全国平均)2019年の総務省のデータよりも実施率がアップしました。(参照:パーソル総合研究所「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」)

また、楽天インサイト株式会社2020年4月の「在宅勤務に関する調査」では、勤務先で在宅勤務の制度が導入されていると答えた割合は34.3%、という数値も発表されています。中でも東京は52%、神奈川県50%、千葉県46%と関東中心にテレワークの高い浸透率が見られました。

厚生労働省がLINEを通して行った第3回「新型コロナ対策のための全国調査」2020年4月のデータでは、オフィスワーク中心の人のテレワーク実施割合が、全国で約27%、東京だけでは約52%という結果になっています。

海外のテレワークの導入率

海外のテレワークの導入率

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アメリカ

世界のテレワーク導入率はアメリカが圧倒的に高く、導入率85%と日本よりはるかに広く普及しています。

アメリカの高い導入率の背景には、交通混雑の緩和オフィスコストの削減人材の確保を目標として2010年テレワーク強化法が成立していたことが挙げられます。それ以前にも2001年の同時多発テロ9.11以降は事業継続面での機能分散化を図るため、リスク削減を目的として浸透した背景もあるといわれています。

ヨーロッパ

ヨーロッパ諸国のテレワーク導入については、アメリカよりも低い数値となっています。

その理由には、そもそも労働時間の短縮が進んでいたことがあり、ワークライフバランスやワークシェアリングなどがすでに普及しており、テレワークの導入をする必要がない働き方が浸透していたと言われています。日本のように長時間労働の習慣もなく、労働時間の短縮化や柔軟化に成功していたという背景があります。

その中でもテレワークのような働き方が早くから導入されていたのは北欧諸国で、冬の厳しい気候や人口密度の低さなどから、在宅勤務は官民ともに今や普通の働き方として浸透しているそうです。参照:総務省(2011年にIPSOS社が世界24か国で実施した調査データ

欧州各国のテレワーク人口率(2014年)

アイスランド33.6%
スウェーデン30.2%
ルクセンブルグ27.5%
デンマーク27.4% 
フィンランド24.9%
イギリス24.0%
ベルギー22.4%
オーストリア21.7%
フランス19.1%
スロベニア18.3%

しかし2020年のコロナ禍ではヨーロッパも大きく事情が変わり、イギリスのデータでは、労働者のテレワーク利用率は48%に増加しました。(2020年3月23日〜4月5日の調査

テレワーク継続を表明している企業例

テレワークを今後も継続する企業

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新型コロナウイルスによる自粛や外出禁止が解除された後も、テレワークの継続すると表明した大手企業が大きく話題となりました。

海外のテレワーク継続を表明している企業例:

  • Twitter社 – 社員が選択すれば半永久的にリモートワーク継続を許可(日本を含む全世界の従業員4000人超)
  • Google – 2021年7月までリモートワーク継続(ほぼ全ての正規社員と契約社員、合計20万人が対象)
  • Microsoft、Amazon – 少なくとも2020年10月まで
  • Facebook – ほとんどの従業員が2020年いっぱいはリモートワークをOK
    さらに、2030年までに従業員の半数を在宅勤務可能にする考えを表明。リモートワーク継続と同時に、2021年1月1日からFacebook社員すべての給与を地域化し、社員が住む地域の生活費にスライドさせる調整を行うとも公表されています。

シリコンバレーで最大規模の2社、GoogleとFacebookがリモートワーク継続を表明したのは、世界的に大きく報道されました。

リモートワーク継続はシリコンバレーの企業だけでなく、アメリカの調査・コンサルティング会社が317社に行った調査結果では、75%の企業が半永久的なリモートワークを続けていく考えであると回答しています。これはリモートワークが継続する価値がありコスト削減効果も実感しているからと言えます。参照:withコロナで加速する、アメリカの働き方改革

アメリカでは、労働者の77%が、コロナ禍のあとも多少の在宅勤務を続けたいと述べたとされています。(2020年5月のデータ)そしてテレワークの継続により、2021年末にはアメリカの労働人口の25〜30%が、在宅勤務を週2日以上行っているだろうと予測が示されています。参照:産経新聞「リモートワーク先進国アメリカで起きている変化」

日本企業でテレワーク継続を表明している企業の例:

  • カルビー – モバイルワークを原則
    モバイルワークの標準化とフルフレックス導入を進める方針。オフィス勤務者約800人を対象にモバイルワークを適用し、30%前後の出社率を目安としています。さらに、通勤定期券代の支給停止とモバイルワーク手当の支給も発表しています。
  • 日立 – これからも在宅勤務活用を標準
    日立では1999年と早い段階から在宅勤務制度を導入。緊急事態宣言発出後は、出社せざるを得ない業務以外は原則として在宅勤務を推進。日立全社の平均在宅勤務率は約7割になっていました。
  • 富士通 – 在宅テレワーク勤務を基本とし、必要最低限の出勤にとどめる
    「固定的なオフィスや通勤の在り方についても見直す」
  • NTTグループ – 在宅勤務を5割以上にする方針
    総務や経理などオフィス部門を中心にテレワークやシフト勤務を定着させたい考えを表明。
  • コニカミノルタジャパン – テレワーク継続
    2017年から全社員対象にテレワーク制度を運用
  • キリンホールディングス – テレワーク継続
    出社する人数の上限を30%までに制限すると発表
  • ソフトバンク
    在宅勤務やサテライトオフィスの活用
  • GMOインターネットグループ
    在宅勤務を週1~3日を目安としてグループ全体の40%をテレワークとする方針
  • ドワンゴ
    各種手当や職場環境等を整備し、2020年7月より在宅勤務制度を本格導入する予定と公表しています。

コロナでテレワーク導入の効果&課題

テレワーク導入の効果や課題

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コロナ禍をきっかけに急いでテレワークを導入し、実感した効果や見えてきた課題も多くあるでしょう。様々な調査であげられている効果や課題は主に以下のような点があります。

効果
・感染防止効果(密の回避)
・社員の通勤時間の削減
・IT活用による業務効率化
・育児や介護中でも仕事ができる

まず感染症のリスクを避けられるという点で、多くの人が密集する空間を避けられることは社員の安心感にもつながりました。通勤ラッシュを避けられると同時に、長時間の移動時間が不要となり、体力が消耗されることなく作業時間が増えると言う効果も大きく、オフィスの自分のデスクに縛られない仕事スタイルは時間を有効活用できると言えます。

課題
・まだハンコや紙での作業を前提としている
・自宅にインターネット環境が整備されていない
・自宅が狭く仕事場所がない
・リモートで業務を行うシステムやツールが不十分

環境整備が不十分なままテレワークをスタートしたため、自宅での作業の難しさを感じたりツールに不慣れだったりするなどの課題が目立ったようです。特にペーパーレスが進んでいない企業は、ハンコや署名をもらうために出勤せざるを得ないこと、オンライン上で共有できないなどの課題がありました。

印鑑を仕事で使用するのは日本の企業の特徴といえますが、それがテレワークをスムーズに運用する障害の一つとも言えます。ペーパーレス化を推進、IT活用による業務効率化が今後さらに必須と言えます。パソコンをはじめ業務で使用するシステムやツールなど、社員がもっと慣れてくると、現在の課題が改善されていくことでしょう。

日本のデジタル化は世界的に見ると進んでいるとは言えず、2019年「世界デジタル競争力ランキング」では日本のランクは、なんと主要63ヵ国中23位、韓国(3位)、中国(7位)よりも低い状態と評価されたのです。世界の1位はアメリカ、2位はシンガポール、その後欧州の国々などが続きます。

テレワークの未来は?今後の変化

テレワークの未来は?今後の変化

Photo by CoWomen on Unsplash

コロナ自粛をきっかけに世界中でテレワークの導入、普及が加速しました。今後テレワークの継続にあたり、海外では在宅勤務用の部屋を設けるために引っ越しを検討する人や、セカンドハウスの購入の検討が増えているなどのニュースも上がっています。職場に近い仕事用の家と週末にリラックスするための郊外の家を持ちたいなどライフスタイルの変化も生まれています。

日本でも、社員全体が集まるような大きなオフィスは不要と判断する企業も出始めており、オフィスを解約してコスト削減に踏み切る動きや、大きなオフィスから小さなオフィス縮小する動きなどが広がり始めています。

アメリカで9.11をきっかけにテレワークが導入され始めコロナ禍でさらに浸透しているように、テレワークのできる勤務体制が企業の危機管理に欠かせないことが認知されました。日本の場合は、自然災害が多く、地震や台風、洪水と常に起こりえる災害対策としても、今後テレワークの導入・継続は日本のニューノーマルとして続いていくことでしょう。

テレワークを継続する必要性:

    1. 地震や台風などで帰宅困難になることを防げる
    2. 通勤できない状況でも業務を継続できる
    3. 感染症の蔓延という緊急時にも安全に働ける
    4. 知名度の低い企業でも優秀な人材を集めるのに有効
    5. 場所を問わず採用でき高齢化社会での人材不足対策

これからのニューノーマルは、テレワークを取り入れた柔軟な働き方、縮小されたオフィスや、サテライトオフィス、在宅勤務などを組み合わせて労働環境をととえるように変化していくと考えられます。

複数の生産拠点体制で、毎日在宅勤務に限らず、週のうち数日は分散されたオフィスに通う、1日当たりの出社率を何割以下にするなどがこれからの未来の企業の形となっていくのではないでしょうか。

テレワーク導入方法・設備の準備が必要

テレワーク導入方法・設備

Photo by Piotr Wilk on Unsplash

テレワークの導入方法には、まず導入の計画、そしてルール作りと環境の整備、実施と検証が大切と言われています。

・プロジェクト計画書作成
・制度の確認・運用ルールづくり
・テレワーク環境構築
・研修・説明会(セミナー)開催
・実証事業終了後の継続計画の策定・報告

参照:総務省テレワーク導入手順書

テレワーク用の環境の整備

利用端末:パソコンやタブレット端末スマートフォンなど。盗難や紛失などの際の情報漏洩対策も必要です。

遠隔操作システムの利用
・VPNの利用:インターネット回線常に組織内の専用線を仮想的に作る
・コミュニケーションツールの活用:チャットやWeb会議システム、電話アプリケーション
・労務管理ツール:勤怠管理や業務管理ツールの利用
・情報共有ツール:データ共有ツール、知識やノウハウの共有、スケジュール管理など

テレワーク環境の例

・リモートデスクトップ方式:オフィスに設置されたパソコンのデスクトップ環境を別のパソコンなどで遠隔から操作することができるシステム。

・仮想デスクトップ方式:サーバが提供する仮想デスクトップに手元のパソコンから遠隔でログインして利用するシステム。

・クラウド型アプリ方式:利用端末や場所は関係なく、Web上からクラウド型アプリにアクセスして、どこからでも同じ環境で作業ができる方法。

・会社パソコンを持ち帰る方式:会社で使用しているパソコンを社外に持ち出しVPN経由で業務を行う方法。情報漏洩対策などセキュリティー確保が重要。

テレワークを早くから導入し継続している企業ではテレワーク手当として、電気代、インターネット環境の整備に対する費用を補助などを行っているところもあります。また、パソコンの貸し出し、仕事用デスク・椅子の購入費用補助などを行っている企業も見られます。

テレワーク導入費用への助成金の活用

テレワークの導入や設備に関わる費用は、厚生労働省や東京都の助成金の活用ができ、税制の優遇もあります。

初回の導入時だけでなく、継続にも適応されるものもありますので、詳しくは「テレワーク関連の助成金、税制一覧」で解説していますのでご覧ください。

テレワークの導入・継続を検討中のご担当者様へ

テレワークの導入・継続

Photo by Paul Millerd on Unsplash

サービスアパートメントを運営するメトロレジデンスは、スピーディで安心なオンラインで完結するサービスを強みとしています。現在コロナウイルスの蔓延に伴い、テレワーク導入が大きな課題となっています。

日本の狭い住宅事情により、自宅での在宅勤務に課題を抱えている企業は少なくありません。

・自宅に仕事用のスペースが取れない
・ネット環境が整っていない
・プライベートと切り替えが難しい
・家族やペットがいて集中できない
・運動不足、ストレスがたまる
・仕事上のコミュニケーション不足

社員が大勢集まるメインオフィスと別で、分散してサテライトオフィス設けることで、密を回避でき、自宅よりも作業環境の整った場所で集中して仕事が進み、生産性を上げることが期待できます。

以前よりメトロレジデンスは、わかりやすい360度写真の掲載やハンコ不要のデジタル署名による契約など全ての工程がオンラインで完結し、鍵の受け渡しまでコンタクトレスを実現してきました。家具家電やインターネット環境の整った部屋ですぐに利用が開始でき、ご利用中は定期清掃で清潔を保つサービスを提供しています。

メトロレジデンスでは、Webカメラやプリンタの貸し出しも行なっております。テレワークでお悩みの企業様はぜひ一度お問い合わせくださいませ。

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