東京からソウルまでは飛行機でわずか2.5時間。
韓国は歴史的にも日本と関わりが深く、気軽に行ける外国として変わらず人気が高い国です。

ホテル、タクシー、コスメ、ファッションアイテム、韓国料理などの物価は日本よりも安く、買い物やグルメを楽しみに韓国旅行に行く人が大勢います。首都であるソウルの治安は比較的良く、日本語を話せる人も結構多いので暮らしやすいです。ファミリーでの駐在も、日本人学校を利用することで日本の教育カリキュラムと同等の教育を受けることができます。
ソウルで、ニュースで報じられているような反日感情を露骨に感じるようなことはあまりないので、さほど気にしなくても大丈夫です。

ソウルに赴任・移住が決まると、物価や生活費がどれくらいかかるのか気になります。この記事では、ソウルの住宅事情や家賃、水道光熱費、インターネット費用、食費、医療費、交通費などについて解説します。

 

住宅事情と家賃

<Photo by Michael Browning on Unsplash>

ソウルで日本人が最も多く暮らしているのは、リトルトーキョーとも呼ばれる東部二村洞(トンブイチョンドン)エリアです。

最近は、龍山(ヨンサン)エリアや、若い層に人気の麻浦(マボ)・孔徳(コンドク)エリアなどの高級住宅地も治安が良く、日本人が多く暮らしています。お子さんがおられるファミリー層にとって気になる日本人向けの学校は、麻浦(マボ)の上岩洞(サンアムドン)ワールドカップ競技場近く、にソウル日本人学校があります。

韓国の住宅は高層マンションや単独住宅、ヴィラ形式住宅などがあり、間取りは2LDK~4LDKが中心です。
主な賃貸システムには「チョンセ」、「ウォルセ」、「サグルセ」があります。

チョンセは日本にはあまりない賃貸方式で、初期契約時にまとまった金額の保証金を支払うことが必要ですが、月々の家賃は不要になります。原則として、最初に払った保証金は家主から返してもらえます。
多くの大家は、保証金を他の不動産や株式などに投資、または高金利の定期預金で運用することで定期的な収入を得ています。最近は、韓国の銀行も低金利になってきており、チョンセの物件は減少しつつあります。

ウォルセは、チョンセよりは日本に近い賃貸方式ですが、チョンセより少ない保証金を支払い、保証金の金額に応じて決定した家賃を月ごとに支払う方式です。保証金はチョンセ同様、契約期間終了時に全額返金されます。サグルセは最近増えており、保証金はなく、入居時に月々の家賃分を一括払いするという方式です。
例えば、月100万ウォンの部屋をサグルセで1年間契約した場合、賃借人は1,200万ウォンを入居時に一括払いします。家賃として支払うものなので、契約期間が終わっても返金されません。

チョンセでもウォルセでも、そしてサグルセでも、ソウルで賃貸物件を借りる際には、まとまった金額の初期費用が必要になります。

ソウルのアパートの家賃相場は以下のとおりです。

ソウルの街

<Photo by Fré Sonneveld on Unsplash>

東部二村洞(トンブイチョンドン)アパート(3LDK)
ウォルセ:保証金はほぼ一定で180万円(2,000万ウォン)、月々の家賃 182,000円(200万ウォン)程度
チョンセ:保証金 2,700万円(3億ウォン)程度必要

龍山(ヨンサン)アパート(3LDK)
ウォルセ:保証金 270万円(3,000万ウォン)、月々の家賃 320,000円(350万ウォン)程度
チョンセ:保証金 4,560万円(5億ウォン)程度必要

麻浦(マボ)・孔徳(コンドク)アパート(2LDK)単身者向け
ウォルセ:保証金 180万円(2,000万ウォン)、月々の家賃 182,000円(200万ウォン)程度
チョンセ:保証金 2,700万円(3億ウォン)程度必要

麻浦(マボ)・孔徳(コンドク)アパート(3LDK)
ウォルセ:保証金 270万円(3,000万ウォン)、月々の家賃 228,000円(250万ウォン)程度
チョンセ:保証金 3,650万円(4億ウォン)程度必要

上記から分かる通り、ソウルで賃貸住宅に住むには、かなりまとまった金額の初期費用が必要になってきます。

医療事情と医療費

<Photo by ATOHSさん on Photo AC>

韓国の中でもソウルの医療水準は高く、全体的な医療費は日本よりも低額です。

外国人登録をした外国人は、健康保険公団に直接申請することで健康保険制度にも加入できます。保険制度を使えば、医療費の自己負担額は日本と同じで3割負担が基本になります。
2019年から、6か月以上韓国に滞在する人は留学生であろうと国民健康保険への加入が義務化されることになりました。平均的な保険料は月額7,700円(85,000ウォン)程度です。

韓国の大きな総合病院には外国人診療部があり、日本語で会話ができる医師や看護師が在籍している病院もあります。日本人駐在員は日本語で会話ができる総合病院を利用することが多く、総合病院では日本と同様の高度医療が受けられます。
予約や受付などの総合病院の制度や流れも日本とよく似ており、基本的には日本の病院で診察を受けるのと同じ感覚で利用できます。

街なかでよく見られる診療所は予約不要で、診察券がなくてもすぐに診察が受けられます。韓国はカード社会であるため、病院の支払いもクレジットカード払いが可能です。

水道・光熱費

<Photo by Fré Sonneveld on Unsplash>

ソウルの水道料金は平均すると月額270円(3,000ウォン)程度ですので、日本と比べるとかなり安いです。水道水は飲用には適さないので、ミネラルウォーターやウォーターサーバーの使用が必要になります。

ソウルの気候は東京とよく似ていますが、冬は最高気温が氷点下になることもあり、雪も良く降ります。一般的なソウルの住宅では、オンドルという床暖房を使用します。

普段のガス代は月額1,000円(11,000ウォン)程度ですが、オンドルを使用する冬のガス代は約3倍の月額3,000円(33,000ウォン)程度になります。

夏は日本ほど蒸し暑くはありませんが、日中は30℃を超える暑さが続くので、エアコンの使用が欠かせません。
エアコンをあまり使わなければ、電気代は月額1,000円(11,000ウォン)程度です。

韓国の電気料金は、電気の使用量が多くなるほど電気料金が割高になる累進課金方式を採っています。エアコンをフル稼働させると、毎月の電気代は10,000円(110,000ウォン)を超えます。

インターネット事情と通信費用

ソウルでは街なかでのフリーWi-Fiが普及しており、デパートや公共施設、電車の中などでは無料でWi-Fiを利用できますが、速度が遅かったり、通信が途切れることがあります。また、日本で契約しているスマホ端末からは接続できないことも多く、セキュリティの面からもフリーWi-Fiはおすすめできません。

キャリアと契約してソウルでスマホを使用するには、月額5,500円(60,000ウォン)~6,500円(70,000ウォン)程度かかり、韓国のスマホのデータ料金は日本よりも高いです。ソウルのアパートやヴィラでは、入居するとすぐにWi-Fiを使えるとは限らず、別途契約することが必要になることがあります。

自分でインターネット回線を引く場合の費用は、月額3,500円(38,000ウォン)ですが、マンスリーマンションやサービスアパートメントであれば、室内でWi-Fiを利用でき料金は家賃に含まれることが多いです。

交通費

<Photo by hoyoung hwang on Unsplash>

ソウルは公共交通機関が発達しており、地下鉄や路線バス、タクシーで市内各地を移動できます。

日本と比べるとソウルの交通費は安く、地下鉄や路線バスは約120円(1,350ウォン)~、タクシーの初乗り運賃は約350円(3,800ウォン)です。

韓国には日本のSUICAやICOCAのような「T-money」というプリペイドカードがあり、T-moneyがあればソウルの地下鉄やバスはキャッシュレスで乗車できます。

T-moneyはコンビニでも購入でき、一部のタクシーもT-moneyで料金を支払うことが可能です。

ソウルの治安は比較的良いですが、ぼったくりを目的とした違法タクシーもまだまだ多いので気をつけましょう。

黒色の車体の模範タクシーや、オレンジ色の車体のインターナショナルタクシーであれば安心です。

また、韓国では、運転席の助手席側のダッシュボードに運転手の身分証明書を掲示することが義務付けられています。

身分証明書を提示していないタクシーは違法タクシーの可能性があるので、すぐに降りてください。

ガソリン代は1リットル200円(2,200ウォン)程度で日本よりも高く、レンタカー代は3,500円(38,000ウォン)~12,000円(131,000ウォン)程度になります。

公共交通とタクシーを上手に使えば、交通費は月額30,000円(8,500ウォン)程度です。

食費

<Photo by Jakub Kapusnak on Unsplash>

ソウルでは「マート」と呼ばれる大型スーパーマーケットで、食料品や衣類、日用品などを購入できます。

食料品の価格は日本より安いものもあれば高いものもあり、品物によってまちまちです。

参考までに、ミネラルウォーター(500ml)は約40円(430ウォン)、インスタントラーメン(5袋入り)は270円(3,000ウォン)~460円(5,000ウォン)程度です。

外食をする場合、ローカルの庶民的な店であれば冷麺やチゲ類が約460円(5,000ウォン)程度です。

韓国料理専門店も価格は安く、焼き肉は1人前1,400円(15,000ウォン)、韓国ブランドの瓶ビールは約460円(5,000ウォン)で、韓定食は920円(10,000ウォン)程度で食べられます。

高級店になると、コース形式の韓定食のランチが1,800円(20,000ウォン)~4,600円(50,000ウォン)、ディナーは2,700円(30,000ウォン)~7,300円(80,000ウォン)程度です。

食費は、平均すると月額40,000~60,000円(11,000~17,000ウォン)程度でしょう。

まとめ

ソウルでの1か月の生活費を日本円に換算すると、およそ300,000円になります。

家賃 182,000円 東部二村洞(トンブイチョンドン)アパート(3LDK)保証金180万円
医療費 7,000円
水道・光熱費11,270円 夏季エアコン使用時
通信費 10,000円
交通費 30,000円
食費 60,000円
合計 300,270円

ソウルの物価は極端に高くはなく、治安と便利さ、そして日本との行き来のしやすさを考えると法外に高額な生活費ではありません。

ただし、アパートを借りる際にはまとまった金額の保証金が必要になり、保証金の額が少ない場合は、月々の家賃が高くなる傾向があります。ソウルには長期滞在が可能なマンスリーマンションやサービスアパートメントがあります。マンスリーマンションやサービスアパートメントはアパートよりも楽に借りられ、ホテルで暮らすように快適な生活が送れます。

多くのマンスリーマンションやサービスアパートメントでは、家具や設備はあらかじめ完備されており、Wi-Fiの料金や水道光熱費も家賃に含まれています。マンスリーマンションやサービスアパートメントであれば短期契約が可能で、長期でアパートを借りる時のようなまとまったお金は不要です。

ソウルで暮らす際には、家探しの苦労や費用の負担などを軽減するためにも、マンスリーマンションやサービスアパートメントの利用をおすすめします。