OECDが行っている、世界各国の15歳の子供を対象とした学習到達度調査(PISA)でも、シンガポールは高い順位を誇っています。最新の2015年度版の調査においては、科学力、数学力、読解力のすべての分野でシンガポールはトップの成績を収めました。
そんな教育水準の高いシンガポールにおいて、学校選びは子供の将来を左右する重要なファクターです。それでは、実際に移住して学校を選ぶことになった時、どんなことに気を付けるべきなのか。7つのポイントにまとめて解説します。

シンガポールの学校の種類

シンガポールの学校は大きく分けて、ローカルスクール、インターナショナルスクール、日本人学校の3種類があります。ここではそれぞれの学校の特徴について紹介します。
ローカルスクールの大きな特徴として、授業はすべてシンガポールの母国語である英語で行われることが挙げられます。そのため英語が不得意な子供は、そもそも講義の内容がわからず、授業についていけない可能性があります。また、ローカルスクールではシンガポール国籍を取得しているかどうかが非常に重要なポイントとなります。まず、国籍を取得していれば学費は無料となります。さらに通う学校を決める際も、国籍を持っている子供から優先的に抽選で決めるシステムとなっているので、国籍がないと人気がない学校に通うことになる恐れがあります。
その点、インターナショナルスクールは外国籍を持っている子供向けの学校なので、様々な国籍の生徒が在籍しています。日本語で授業を受けることもできますし、同時に英語の教育もしっかりと行っています。ただ、学費の面ではどうしても高額になる傾向にあります。
最後に日本人学校ですが、こちらは保護者あるいはその勤め先の会社がシンガポール日本人会の会員でなければ入学できません。2000人を超える生徒は主に日本人で構成され、授業は日本の文部科学省が定めたカリキュラムに従って行っています。

シンガポールの学校の学費

シンガポールでの学費は、通う学校の種類によって変わってきます。
ローカルスクールでは、移住の際にシンガポールの国籍を取得していれば学費が無料となりますが、国籍がないと高額な学費を用意する必要があります。これは、国籍を持っている子供の分も国籍を持っていない子供の学費で賄っているためです。
とはいえ、インターナショナルスクールに通った際にかかる学費に比べれば非常に安価です。国籍を持たない子供が小中高とローカルスクールに通ってかかる学費のトータルは900万円ほどですが、インターナショナルスクールの場合は4000万円ほどかかる、といったデータもあります。
日本人学校の学費もインターナショナルスクールに比べればずいぶん安いのですが、私立の学校という扱いになるので、トータルで1600万円ほどかかるようです。シンガポールの物価の高さはよく知られていますが、外国人向けの教育費にもそんな側面が現れています。

入試に必要な英語力、および学力について

英語が不得手な日本人にとって、入学するのにもっともハードルが低いのが日本人学校、次いでインターナショナルスクールで、最難関がローカルスクールとなります。ある意味ではとてもシビアな世界なので、語学力に不安があるのであれば、日本人学校かインターナショナルスクールを選択するのが賢明です。
また、シンガポールの学校では小学校を卒業する際に卒業試験であるPSLEを受けることになります。この試験に失敗すると小学校を卒業することができず、来年度の再受験か、特別教育校に進学するかの決断を迫られます。PSLEに2度落ちると、自動的に特別教育校へ行くことが決まります。統計によると、全生徒のうち1~2%ほどがPSLEに落ちてしまうようです。さらに、卒業後の進路もPSLEの結果である程度決まってくるため、教育熱心なことで知られるシンガポールではとても重要な試験だと考えられています。

日本との教育システムの違い

シンガポールのローカルスクールでは、小学校にあたるプライマリーの6年の過程を修了すると、セカンダリーに行くことになります。セカンダリーの教育課程は、内容によって異なりますが、4年あるいは5年で修了します。ここで注意したいのが、日本とは違ってシンガポールの義務教育は小学校の6年間で終了するということです。つまり、公立であれば自動的に中学に上がれるわけではないのです。さらに進学するためには、先ほど説明したPSLEという卒業試験を受け、それに通らなければなりません。そのため、シンガポールの小学6年生は日本とは比較にならないほどよく勉強しています。PSLEの結果如何によって、その後自分がやりたいことをできるかどうかがある程度決まってしまうからです。そのことが分かっているので、シンガポールの保護者は全力で子供の勉強をサポートします。中にはPSLEに備えて1年間休職する人もいるくらいです。これが、世界的に見てもシンガポールの学力が非常に高い理由の一つでもあります。

教育カリキュラムの内容について

学校を選ぶ際に気を付けたいのが、入学を考えているそれぞれの学校の教育カリキュラムの内容です。特に、IBディプロマがあるのか、英語のレッスンをきちんと行ってくれるのか、といった点は、その後の進路を考える上でも重要な要素になります。
IBディプロマとは、世界で125以上の国が大学の入学資格として認められている、16~19歳向けの総合的な教育コースのことです。コースの修了時に受ける卒業試験に合格することで、IBディプロマの資格を得ることができます。IBディプロマを取得することができれば、世界中の大学から行きたいところを選ぶことができるので、子供の選択肢は大きく広がります。
英語力が低い生徒のために英語の補完授業を行うESLが実施されているかどうかも、子供の教育のためには大切なポイントです。子供のうちに英語を習得できれば、シンガポール国内はもちろん、世界中の国で言葉の壁を感じずに生活できるようになります。

シンガポールでの学年の始まり

日本人学校以外のシンガポールの学校では、学年の決め方が日本とは異なります。日本では各年度の区切りが4/1と定められていますが、シンガポールでは1/1が基準となります。つまり、ある年の1/1の時点で満6歳になっている子供は、同じ年の1月から小学1年生として学校に通うことになるのです。年度内で学期は2つに分かれ、1月から5月の1期、6月から11月の2期となります。各学期の間には1月ほどの長い休みが挟まり、学期の中盤でも10日ほどの短い休みが設けられています。
日本人学校では、日本の学校と同じように4/1を基準として学年を定めています。また学期も同様に3つに分かれています。生徒のほとんどが日本人なので、急な転勤で年度の途中から編入する場合などもよくあります。日本と同じ周期で運営しているおかげで、教師側、生徒側の双方にとって都合がよい状況であると言えます。

シンガポールの学校の文化

シンガポールのローカルスクールで日本と大きく異なるのは、ランドセルがないこと、それから制服があるということです。ランドセルは日本独自の文化であり、シンガポールの小学生は大抵それぞれのリュックを背負って登校しています。そして制服はそれぞれの学校ごとに定められていて、多くの場合は靴の色なども指定されています。また、教科書についても事情が異なります。日本では学年の初めに配られる教科書ですが、生徒ごとに学ぶ言語が異なるシンガポールでは、大学のように校内の書店で購入します。日本人学校には制服はありません。
給食についてですが、シンガポールのローカルスクールでは給食の制度はありませんので、生徒は弁当を持参することになります。ただし、毎日同じメニューながら学食を利用することはできます。日本人学校も給食は出ませんが、弁当販売業者が毎日訪れるので、朝のうちに注文することで弁当を買うことができます。
海外の学校では通常生徒による掃除の習慣はありませんが、シンガポールでは2016年から毎日10分間、全学校で生徒による掃除を実施することが決定しています。逆に日本人学校では清掃業者が入るので、生徒は週に1度だけ清掃活動を行っています。

教育水準が高いシンガポールへ移住しよう

PISAでの世界第一位の結果からも分かるように、シンガポールはいまや押しも押されもせぬ教育大国です。投資家のジム・ロジャーズのように、子供に優れた教育を受けさせるためにシンガポールへ移住した人も少なくありません。将来子供たちにグローバルに活躍してもらうために、英語を身に付けるにも最適な環境の整ったシンガポールへの移住を考えてみてはいかがでしょうか。

Leave a Reply