海外の国々では、公共の場所でのマスク着用義務や、外食時の人数制限などがあり、違反すると数万円の罰金を伴う罰則、国によっては禁固刑を定めている場合もあります。帰国者・入国者に対する日本の隔離の罰則はどうなっているのでしょうか?

日本への帰国者が無視してはいけない「誓約書」について確認しましょう。

日本の自主隔離「誓約書」の内容

日本入国誓約書

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000753108.docx

日本入国の空港で検疫所に提出する誓約書の内容(2021年5月12日更新)

● 「出国前検査証明」の内容に不実の記載(誤りや偽り)がない
現地出発前72時間以内に検査を受けた陰性証明を入国時に検疫官または入国審査官に提出する

● 14日間の公共交通機関関を使用しない
不特定多数が利用する電車、バス、タクシー、国内線飛行機等に乗らないこと。

● 14日間の自宅または宿泊施設等での待機
途中で待機場所を変更する場合は、保健所と入国者健康確認センターに事前相談する。

● 入国後14日間毎日、入国者健康確認センターに健康状態の報告
メール([email protected]から)が届き、案内に従いウェブサイトにアクセスして健康状態の報告をします。
例:発熱の有無、咳や喉の痛み、味覚・嗅覚障害の有無など

● アプリをインストールし14日間対応する
・接触確認アプリの導入
・位置情報の保存、アプリから通知が届いたら位置情報や健康状態の送信をする
・ビデオ通話の連絡が来たら応答する

※インストールできるスマートフォンを持っていない場合は空港検疫エリア内でレンタルすることが求められます。

〈必要なアプリ〉

  • 位置情報確認アプリ&健康状態の報告&居所確認(MySOS)※ビデオ通話がかかってくることがあります
  • 接触確認アプリ(COCOA
  • 地図アプリの位置情報設定

以前はビデオ通話アプリがLINEやSkypeなどで案内されていましたが、現在は上記のアプリが指定されています。2021年7月より位置情報確認アプリ(OEL)は不要になりました。

アプリについて詳しくは厚生労働省・入国者健康確認センター「日本へ入国・帰国した皆さまへ」を参照ください。動画付きで説明されています。

● 入国後14日以内に症状が出た場合、 新型コロナウイルス「受診・相談センター」に電話連絡
指定された医療機関を受診、保健所等による指示があった場合、指示に従います

● 調査に協力(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第15条に基づく積極的疫学調査)
入国後に陽性となった場合、発症日が入国後14日以内と判断されると、 調査に必要な情報を保健所が閲覧することを承諾、合わせて療養場所の指示など保健所などから受けた場合はそれに従います

● 感染防止対策に努める
マスクの着用、手指消毒の徹底、3密(密閉、密集、密接)を避けて生活します。

自主隔離誓約書の罰則とは

自主隔離誓約書の罰則とは

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000779619.pdf

誓約書の内容に違反した場合は、名前などが公表されることが記されています。

  • 氏名や国籍などが公開される
  • 検疫法の規定に基づく停留の対象となり得る
  • 外国人の場合は出入国管理及び難民認定法の規定に基づく在留資格手続き及び退去の対象となり得る

誓約書で求められた位置情報確認アプリ(MySOS)は、1日のうちランダムな時間に通知が届き、現在地情報を健康管理センターに送るようになっています。これを無視したり申告した住所と違う場所で位置情報を送ると誓約違反になり得ます。

日本で罰則・罰金になるケースとは?

日本入国時に提出する書類の一つに、WEB上で入力する質問表があります。この質問表の注意書きには罰則・罰金について次のように書かれています。

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策「質問票

日本で罰則・罰金になるケースとは?

出典:https://arqs-qa.followup.mhlw.go.jp/#/

質問票に記載する連絡先などの情報は正確な内容を書くことが求められており、もしも虚偽の申告をした場合は検疫法36条により罰せられ、懲役6ヶ月以下または50万円以下の罰金が科せられることもあると示されています。

検疫法第三十六条

検疫法による罰則

出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000201

強制力と罰則について

日本の帰国者の隔離は要請で、強制ではないから守らなくてもバレない、と思って無視すると罰則の対象になることがあり得るかもしれません。

政府は、帰国者に対する14日間の待機要請には法的根拠がなく、強制力はないとするが、検疫所業務管理室は、質問票や申告書が検疫法12条の対象になるため、「要請であっても法律が適用されないわけではない」とする。さらには「待機場所を申告し、そこに待機していなかったら、虚偽の申告をした違法状態になる。実際に罰則を適用するかは警察との相談にもなる」と説明する。
出典:毎日新聞

ちなみに検疫法12条とは、日本に入国する人に対して「検疫所長は、必要な質問を行い、または検疫官をしてこれを行わせることができる。」という内容です。検疫官の指示に従わない場合には、罰則の対象となる場合があります。

現時点で罰則の対象となったケースは報道されていませんが、「出国前検査証明」の不備により入国拒否になった日本人の送還について報道されました。

日本人の入国拒否については「日本入国の流れと必要な書類(出国前検査証明・コロナテスト)」で紹介しています。

14日間の隔離を誓約を守って過ごすには

日本に入国する予定が決まったら、事前に以下のことを準備しましょう。

  • 14日間の滞在場所を確保する
  • 空港から滞在場所の移動手段を確保する
  • 求められているアプリをスマートフォンにダウンロードする
  • 質問書や契約書など入力する
  • 有効な「出国前検査証明」を用意する

そして、実際の14日間の隔離期間中は、アプリやメールに来る連絡に対応し、感染防止対策を徹底した行動をしましょう。

詳しくは「日本入国の流れと必要な書類(出国前検査証明・コロナテスト)」で紹介しています。

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