賃貸物件を探している際に、ごく稀に「定期借家」と言う言葉を目にするかもしれません。賃貸契約全体に占める定期借家の割合は少なく、あまり知られてない特殊な種類の賃貸物件。「どういう意味かよくわからない」「なんとなく借りるのに抵抗がある」など正しい知識がないために定期借家物件を避けてきた方もいるかもしれません。

しかし、この「定期借家契約」は、ニーズが合う人にとってはかなりのメリットがある物件なのです。それでは、「定期借家契約」の特徴やメリット・デメリットをみていきましょう。

 

定期借家契約とは?

定期借家契約とは?
<Free-PhotosによるPixabayからの画像>

 

定期借家契約とは一体何?

定期借家契約とは、一言で言えば契約期間がある借家契約。一般の借家権は土地の上に建物が存在している以上、期間の定めなく契約は更新され、貸主からの解約や更新の拒絶は正当な事由がない限り認められていません。そのため、空いている部屋があったとしても、貸し出さないケースもありました。

そこで、住宅の有効活用を目的に、2000年に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」として定期借家権が導入され、一定の契約期間に達すると契約が終了する借家制度が制定されました。

しかし、実際には定期借家物件数は少なくその数は全体の約3%。残りの約97%は、私達がよく知っている賃貸物件は「普通借家」がほとんどなのです。

 

定期借家契約の特徴

 

定期借家契約の特徴4点は以下の通りです。

 

①契約で定めた契約期間が満了すると、賃貸借家契約は終了となる

契約の更新がなく契約期間が終了した時点で確実に契約も終了します。契約終了したら速やかに物件を受け渡す必要があります。契約期間は自由に定められます。

 

②定期借家契約の締結は必ず書面で行い、契約期間について別書面での交付が必要

契約期間を確定した上、公正証書等の書面によって契約する事が必要です。

また、「契約の更新はない」「期間満了とともに契約終了」の旨を契約書とは別の書面を交付して貸主は借り主に説明しないといけません。もし貸主がこの説明を怠った場合は、定期借家契約の効力は失い、普通借家契約となります。

 

③契約期間内の途中解約はできない

基本的には定期借家契約では、契約期間内の途中解約はできません。

しかし例外として以下の3点が満たす場合は途中解約ができるケースもあります。

  • 契約期間中に借り主が転勤・病気・親族の介護などのやむを得ない理由により、その借家に住むことが困難になった場合
  • 居住用建物の定期借家契約
  • 床面積200平米未満

これ以外の途中解約となると、契約時に中途解約ができる特例を結んでいた場合が可能です。

 

④1年未満内の契約期間が可能

定期借家契約では契約期間を自由に定めることが可能です。普通借家契約ですと一般に1年以上の長期の契約となりますが、定期借家契約では1年未満の契約期間も可能です。

 

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普通借家契約との違い

普通借家契約との違い
<Gerd AltmannによるPixabayからの画像>

 

賃貸物件の「普通借家と」と「定期借家」の違いをポイントごとにまとめてみました。何がどう違うのかをここでしっかり理解していきましょう。

 

定期借家契約 普通借家契約
契約方法 ①契約の締結は公正証書などの書面で行うことが必要。

②契約書とは別に「契約の更新はなく期間の満了とともに契約が終了すること」をあらかじめ書面を交付して説明することが必要。

口頭でも可能

 

契約期間 契約期間は自由に定めることができる。 契約期間は1年以上で設定。

 

中途解約 居住用建物(床面積が200㎡未満)の定期借家契約では、契約期間中に法律に定められたやむを得ない事情が発生し、その住宅に住み続けることが困難となった場合には、借主からの解約申し入れができる。貸主からの中途解約はできない。 借主からの中途解約に関する特約を定めることができる。
貸主からの中途解約については正当な事由がない限り認められない。
更新の可否 契約の更新はできない。 正当事由がない限り更新される。

 

賃料の増減に関する特約 賃料の増減は特約の定めに従う。特約で賃料の増減ができないとすることも可能。 特約に関わらず貸主、借主は賃料の増減を請求できる。

 

通知義務 契約期間が1年以上の場合、貸主は期間満了の6ヵ月前までに借主へ契約終了を通知する義務がある。

 

 

定期借家契約のメリット・デメリット

定期借家契約のメリット・デメリット
<PexelsによるPixabayからの画像>

定期借家契約と普通借家契約では契約上で多くの異なる点がありました。しかし、定期借家契約物件はデメリットだけではなく様々なメリットもあります。

 

メリット

家賃が安く設定されている場合がある

定期借家契約では契約期間が限定されているため、物件が気に入っても長く住めないので借り手がなかなかつきにくいというのが現状です。そのため、家賃を相場より安く設定したり礼金を0円にしたりと、価格面で普通借家と差別化して集客をしているケースが多いです。

 

期間限定で借りられる

定期借家契約では普通借家契約では不可能な1年未満の短期間での契約ができます。進学や転勤など短期間での住まいを探している人にとっては1年未満の契約ができる点はメリットと感じるでしょう。

 

入居がしやすい

定期借家契約の場合は比較的審査が簡易的だと言われています。なぜなら、契約期間満了で契約終了となるため、入居者が長く居住できない仕組みになっています。そのため、問題のある住民であっても契約期間が過ぎれば立ち退き料なしで退去させることができるため、普通借家契約より審査が厳しくないことも多いのです。

 

デメリット

途中解約の申し出ができるケースが限られている

「定期借家契約の特徴」で述べたように、基本的には途中解約はできません。申し出ができるケースとしては、「借り主が転勤・病気・親族の介護などのやむを得ない理由がある」「居住用建物」「床面積200平米未満」この3点が揃うケースのみです。

ただし、定期借家契約でも特約として中途解約ができる旨が契約書に記載されている場合は、契約期間内でも解約はできます。

特別な理由がない場合の途中解約ができないので、契約時にはしっかりと契約内容をチェックしましょう。

 

原則、契約の更新ができない

定期借家契約では原則契約の更新ができないので、契約期間が終了したら直ちに物件から退去する必要があります。トラブルなく生活をしていて継続して物件に住み続けたい場合、貸し主に交渉したとしても再契約はできない場合があります。気に入った物件に長く住みたい意向がある人には、定期借家契約では注意が必要です。

 

定期借家契約はどんな人に合っている?

定期借家契約はどんな人に合っている?
<tookapicによるPixabayからの画像>

 

住む期間が限られている人

転勤や単身赴任、学生で在学期間中のみなど1年未満の期間限定で住まいを探している方には、契約期間が限定されていて価格的に安く設定されている定期借家契約物件はメリットがあるでしょう。普通借家契約では1年以上の契約が主で初期費用が多くかかる物件が多いので、1年未満の滞在を希望している方には不向きだと言えます。

 

予算が少ないけどいい物件に住みたい人、初期費用を抑えたい人

定期借家契約のメリットとして、定期借家物件の中では家賃が相場より安く設定され、初期費用を安く設定されており、価格面でメリットがあると述べてきました。

期間が限定されている点が問題なければ、とにかく費用が安くて、初期費用も抑えたい、コスパ重視の方には定期借家物件はオススメです。

また、実はマンスリーマンションやウィークリーマンションの物件の中でも「定期借家契約物件」が多いのです。マンスリーマンションの多くは家具付きのものが多く引越しの負担が少なくなり、初期費用も通常の賃貸契約より安いので、1年未満の滞在で初期費用を抑えたい方にはこれらの利用もオススメです。

 

定期借家を借りる場合の注意点

定期借家を借りる場合の注意点
<Andreas BreitlingによるPixabayからの画像>

 

契約の内容をよく理解すること

定期借家契約は借り主にとって不利な内容もある契約ですので、しっかりと内容を理解して納得してから契約書に印鑑を押しましょう。重要なポイントは契約期間と契約の更新がないというのを書面に明記されているかをチェックします。

 

途中解約について借り主に確認する

先ほども述べてきましたが、原則的に定期借家契約では途中解約ができません。

途中解約した場合にペナルティとして多額の金額を請求されたケースもあるようなので、少しでも途中解約の可能性がある場合は、その場合はどのような対応になるかを大家さんに確認しておきましょう。また、契約書内に途中解約について明記があるかもしっかりチェックしましょう。

 

まとめ

耳慣れない「定期借家契約」について説明してきましたが、意外なメリットがありましたね。

定期借家の特徴である「契約の更新ができない」「途中解約ができない」の部分をきちんと理解していれば、借り主のライフスタイルによっては実際にメリットも多く非常におトクな物件とも言えます。

しかし、その数は非常に少ないレア物件。もしこのような物件をお探しの場合は、不動産屋で「定期借家契約物件」があるか聞いてみましょう。